Short story

書いてもいいのよ???(寧ろ書こう)

割りと常に作品移動が激しいです。 追加したものは消えていないので探してください()

全力で敬称略かましてます(๑•̀∀•́)و✧() 申し訳なし

タイトルない奴は私が即興で仮名付けたんですけどあまりにも適当すぎるので書き手さんタイトルください


秋恵 父さん! 母さん! 兄貴! あたし上京するわ!(๑•̀∀•́)و✧

夏樹 マジで!?wwwヨッシャ俺もこの機会に上京するわ(๑•̀∀•́)و✧

両親 マジかwwww子供2人一気にかwwww行って来い(๑•̀∀•́)و✧

 

▼小鳥遊家こんなだったらどうしよう/カナ


夏樹 引っ越しはえーんやけどどないしよ。 どこ住もっかなー

秋恵 えー、あたしも住むとこ全然考えてへんのやけどな

夏樹 マジでー? わざわざ秋恵の家行くんもめんどーやし、

   もう一緒に住む?ww

秋恵 マジで言っとんwwwwえーよ全然www

夏樹 ええんかwwww

秋恵 ジャンプ買うんは週交代継続やんな

夏樹 無論('∀')

秋恵 ヨッシャええよ('∀')住もか

 

▼小鳥遊兄妹の裏設定/カナ


加奈< 今日巡回中秋恵のお兄さんに会ったよ(・ω・)!

加奈< 秋恵のお兄さんって感じが凄くした

  ふっはホンマにwww よー言われる(๑•̀∀•́)و✧ >

  他なんか兄貴と話した? >

加奈< 「兄妹なのに秋恵の方が俺の数倍顔良いの解せへん」

加奈< ( ・´д・)←夏樹さん

  それに大して加奈はなんて?ww >

加奈< 「お兄さんかっこいいですよ!」

  兄貴の返答 >

加奈< 「それは加奈ちゃんの好きな人に言いなさい!」

    「私好きな人居ないんです(・ω・)」

    「・・・・いや俺にゆうん勿体無いから!!」

加奈< 秋恵に似て夏樹さんめっちゃ優しい人だね(`・ω・´)b

  まごうことなきうちの兄貴やわwwwwww >

 

▼加奈と秋恵の日常LINE/カナ


彼女が殺されてから、何日経ったか

正確には覚えていない。

仕事には……ああ、行ってなかったな。

長期休暇を出していたんだ。

喜助が確か処理をしてくれたんだっけか。

ありがたかった。

正直今は、仕事に集中できる気がしなかったから。

 

どんなに気落ちしていても生きている限り腹は減る。

気づけば数日経っていたような気がしなくもない。

久しぶりに食べたものは、胃が拒絶して大半は下水道へと消えた。

それ以降食べるのも億劫になって、ほとんどソファから動かずに日々を過ごしていた。

その頃だろうか。

夜突然、インターフォンが鳴った。

誰かと思えば喜助だった。

 

「よぅ」

「こんな時間にどうしたんだよ」

「お前が飯食ってるか確かめに。…まぁその様子じゃ食ってなさそーだけどな」

 

そう言った喜助は、ほら、とスーパーの袋に入った林檎を差し出してきた。

 

「いきなり固形物食うと吐くから摩り下ろしてから食えよ。じゃあな」

 

と言って帰っていった。

 

……喜助、ありがとな。

 

そのつぶやきは、聞こえなくていい。

まだ、言うべきじゃないのは分かってる。

けど、言わせてくれよ。言うだけタダだろ?

 

 

数日後

俺は職場に復帰した。

 

「喜助、ありがとな」

「は?お礼言われるようなこと俺したか?」

「…分かってねーならいーけど、言いたかっただけだから。」

 

そーゆーさり気なく人の心配できんの、俺もできるようになるといいんだけどな。

 

 

俺はまだ知らない。

自分のせいで周りを巻き込みかねず

守りたさから親友の喜助を

小太刀と呼び続ける日が来ること。

 

▼蒲倉輪廻のヒキコモリ事件

 -”喜助”と呼ばれていた日/かりん


「知りすぎてしまった」と、気付いた時にはもう、手遅れだった。

 

もう、乾いた笑いしか出ない。

彼女のことを調べていたら、彼女と同じ運命に辿り着くなんてこと、少し考えればわかったことじゃないか。

小太刀に散々言われたのに、アイツにあんな形で突き放して、挙句の果てにはこれか。

なんて、なんて愚かなことを。

これじゃみんなにも、迷惑を掛けてしまうかもしれないじゃないか。

もう遅い。気付くのが遅過ぎた。

 

小太刀に何て言えばいい?

 

「調べすぎてしまってアイツのように命が危なくなってしまったから助けてくれ」?

 

間抜けにも程があるというものだ。

それに、あんなことを言ってしまったんだ。

あの小太刀でも、もう許してくれない可能性、だっ…て…

 

…嗚呼、そうか、そうだ、そうだな。

 

俺の側が危ないのであれば。誰も寄せなければいいのか。

 

▼蒲倉輪廻の間違い/あだむ


アイツはいつだって前を歩いていて

俺はいつだってアイツの後ろにいた。

背中合わせのように。

 

それは親友で相棒に近かったからだと思っていた。

 

 

……けど違った。

 

俺とアイツはまさに背中合わせに逆を向いていた。

 

アイツは前を向き

俺は後ろを向いた

 

アイツは乗り越え

俺は乗り越えられず

 

アイツは人を引っ張れるのに

俺は自分のことばかりで

 

何もかもが正反対だった。

 

ああ、こんなだから。

 

こんなだから、同期なのにアイツの方が昇進していて

こんなだから、アイツには頼られなくて

こんなだから……彼女は……

 

 

アイツみたいに、なりたかった……。

 

▼蒲倉輪廻の羨望/かりん


阿雲が死んだ、というか、消えたと聞いた時。一番に浮かんだのは悲しみではなく、愛する残された部下達のことだった。

小鳥遊も廣瀬も、餅岡も、みんなあの真面目な阿雲と仲がとても良く、慕っていた。これを伝えるとなると、アイツらは一体、どうなってしまうのか。

…アイツらを信用していない訳ではない。でも、ただただ、優し過ぎるアイツらが心配で。

 

もう二度と、立ち直れなくなるまで追い詰められる結果になったら?

…隠しておいても、何れは解るだろう。もう子供ではないのだから。

 

どうしたら、どうしたらいい。

 

どうしたらアイツらの負担を少しでも軽くできる。

 

あの笑顔を、あの明るさを。あの真っ直ぐさを、あの優しさを、

 

無くすものか、絶対に。

 

「………おい、廣瀬」

 

すまない。こんな頼りない上司で。

部下1人も守れなかった上司で、すまない。

 

▼小太刀喜助の謝罪/あだむ


その日、私が私服警官として働き始めて2週間が経った日だった。

署にいるところ、喜助先輩に突然個別で呼び出された。

 

「おい、廣瀬」

「キースケ先輩?どうしたんですか?わざわざここの部署まで…」

「話があるからちょっとこっち来い」

「え、でも仕事…」

「いいから」

「…はーい」

 

引く気のなさ気な喜助先輩に諦めて私はついていくと、

連れて行かれたのは人気のない廊下だった。

 

「先輩?一体どうしたっていうんですか?」

「…お前、阿雲と仲よかったらしいな」

「加奈先輩が、どうかしたんですかっ!?」

 

加奈先輩は私がはいる少し前に先に入っていた人で、

警察学校でもお世話になったいい人だ。

…けど、加奈先輩は、ある日突然仕事に来なくなってしまった。

 

「…阿雲は、行方不明になったそうだ」

 

時間が、止まった気がした。

 

▼廣瀬冬華が耳にした(仮名)/かりん


独りは寂しい。

どんなに富と名声を貰っていても、孤独であれば意味は無い。

それに気付いた時、自分のこの物足りなさは孤独が原因なのだと知った。

…自分にまだ探究心以外の欲求があったとは驚いたものだ。

 

▼綾崎珊瑚の孤独/あだむ


返して、といくら叫んでも。

帰ってきて、といくら祈っても。

 

僕の弟、時貞が帰ってこないことなんて知っている。

真っ白な精神病院。その白に、時貞が居てどれだけ僕は手を伸ばしたのだろうか。

 

僕の手には恐ろしい本が握られている。

 

これで、時貞は

 

▼伏見照彦が堕ちる時/あだむ


ああ、今日もたくさんの人を救う事ができた。

この仕事をやってからというもの、幸せでなかったことなんて1度もない。

毎日が幸せでたまらない。

 

ぼろぼろと涙を流しながら感謝する親族の方々の姿なんて自分も泣いてしまいそうになるほど感動的で、美しい。

 

趣味なんて言って遊んだりなどしてる暇なんてない、他の医者に任せるなんてとんでもないのだから。

金や権力しか興味のない奴らは、講義でもなんでもしておけばいい。

そうすれば世間は奴らに拍手を送るだろう。

でも俺は見せかけの拍手なんかより、本物の希望を見たい。だから今日も明日も明後日も患者をたくさん救って、"俺を"幸せにするんだ。

 

嗚呼、俺はなんて幸せなんだろうか。

 

▼幸福な金垣悠也/あだむ


突き飛ばされた肩から感じたモノは少なくとも拒絶ではなかった。

 

ゆっくりと落ちていく。

 

手を伸ばそうとした時に見たのは少しの諦めの色と、

この状況で驚くほどの優しい笑顔

 

「私は、あなたに生きてほしい。 あなたには生きてほしいんです」

 

嗚呼、私は。

あなたにそんな顔してほしくなかったのに

 

▼江里口愛名の帰還/カナ


眩暈を感じながらゆっくり目を開くと道の端。

支えられていた身体、不安そうに掛けられた言葉に顔を上げる。

 

「・・私、どれくらい気を失ってました?」

「1分ほどか」

 

その言葉に暫く瞬きを繰り返す。

 

「具合でも悪いか?」

「いえ、少し眩暈が、 平気です」

 

(具合は。)

(心は?)

 

▼江里口愛名の心残り/カナ


久々に妹が家に帰ってきた。
「最近あたしなんか寝てる時泣いとるんよぁ・・・」
と自己申告した言葉が気になって夜中こっそり部屋を覗く。
ベッドの脇に座る人影を見て思わずぎょっとする。
見たことのあるその人物は俺に気づいてにこっと笑いかけた。


月明かりに照らされた首元は赤く一線

 

▼小鳥遊夏樹の目撃/カナ


「私達がすべきことは、真実を突き付けることじゃなくて

 見守って、自分で気付かせてあげることじゃないかな」

「彼女がこうだったからこそ、私達は仲良くなれたの」

「秋恵なら大丈夫。 彼女は強いよ」

 

▼阿雲加奈の確信/カナ



「……ッ!」

伸ばした手が届かずに搔き消えていく背中を眺めるのはもう何度目だろうか。まるで花弁が舞うように綺麗に消えていく大好きだった親友の体に手を伸ばして、そうして、あたしは一体どうするつもりなんやろう。

腕を掴む?肩を掴む?抱き締めて「会いたかった」って伝えるん?

それを叶えるために自分は今日も時間を重ねているはずやのに。

 

朝を凪いで。昼を笑って。夜を紡いで。

そうしてまた明日へ向かっていく毎日で、もしかしたらもう加奈は、

なんて、そう考えてしまう自分がとてもとても嫌やった。

加奈。あたしな、婚約したんやで。鶴彦っていうひと。

あたしが泣いてることに気付いてくれた人と。

伝えたいことは、この2年半でいくつもいくつも増えていくねん。

全部話したら、きっとビックリするやろうな。

 

「加奈、」

 

なあ、あたし、加奈に会いたいよ。

どうしても、戻って来てくれへんの?

 

▼小鳥遊秋恵の切なる懇願/月兎耳


あの不気味なモノを倒した後、無事に俺たちは元の場所へと帰れた。

しかし、あの場所へは警察も動き

その場に俺がいたことをアイツが知らないはずがなかった。

 

 「おい、蒲倉ッ…!」

 

出勤すれば駆け寄ってくる小太刀。

 

 「なんだ」

 「なんだ、じゃねぇだろ!お前、事件に巻き込まれたって本当か!?」

 

わざわざ疑問系で言うのかお前、と思わずにはいられなかった。

コイツの耳に入っているということは、ほぼ確実に起こったことだろうと確信しているくせに。

 

 「…だったらなんだ」

 「自分を大事にしろって何度言ったらわかる!?」

 

またこれか。

 

 「なんのことだ」

 「お前が自分を犠牲にしようとしたって話、聞いてるんだからな」

 

最近の小太刀はやたらと俺に構う。

突き放しているのに、だ。

コイツは俺の大事なヤツだ。だからこそ、側にいてほしくないのに。

 

 「…一般市民がいるんだ。警察の俺が身を賭して守るのは当然だろ。それにお前には関係ないことだ」

 「だとしても自分の身をないがしろにしていいわけじゃねぇだろ。

   関係ないわけあるか!お前は俺の同期だ!」

 

遠ざけようと思って遠ざけるほどコイツは近寄ってくる。

 

どうせ俺なんかが身を犠牲にしたところで人1人満足に守れないことを知っているくせに。

 

 「……俺は平気だ。……なんたって、化け物にすら殺さずに値しないと評されたからな(ボソッ」

 「平気じゃねぇだろーが…ま、怪我しなくてよかったけどな。

  …いい加減ちゃんと前を向け。」

 

最後のつぶやきはつぶやきのまま、誰の…勿論小太刀の耳にも入らずに中に霧散する。

ああ、それでいい。

 

 

俺だけでも、コイツの負担になってやりたくない…。

たとえ……コイツ自身が手を伸ばしてくれていたのだとしてもーーーーーーーー…。

 

▼蒲倉輪廻の悲哀/かりん


「愛名」

 

たった3文字、自らの名が紡がれるだけの声がどれほど愛しいか。

 

名を呼ぶことで引き止められ振り返った私の彼に向ける笑みは、

確立された感情から来るものであることを彼は知っている。

 

冷静に滅多なことでは動揺しない、彼は大人である。

 

その耳に付けられた銀は強い意志から来るもの?

 

その世界に、私は存在するのでしょうか。

 

▼江里口愛名は想っている/カナ


何故彼はあんなにも人を遠ざけるのだろう?

自分にはとてもじゃないが理解できない。

 

「なぁ、蒲倉くん。君はどうしていつも1歩後ろにいるんだい?」

「…アンタには関係ないだろう。俺なんかに構わずさっさと自分の仕事に戻れよ」

 

ほら、まただ。

彼はいつも自分の近くに人がいるのを避けようとする。

その癖誰もいないと、羨ましそうに人の集団を見ている。

全くわけがわからない。

 

「自分は蒲倉くんを構い続けるぞ。何たって面白いからな」

「…最初はひどく嫌っていたくせに何を言う。早くどこかへいけ」

 

まぁ、せいぜい1人になりきれず、あの性格でいるかわからんが友人にでも寄りかかるんだな。

なんたって、寄りかからせるのは自分の役目ではないし、する気もないのだから。

 

▼綾崎珊瑚の思考/かりん


(海外の仕事の一場面。パーティー的な)

『ドレスコードが必要です。着替えてください』

 

「………なら自分は監視ルームで待機しよう。」

 

『そんな、困ります。依頼内容とちがうじゃないですか!』

 

「自分は雇われている身、ではあるが客と仕事を選ぶ権利はあるんだよ。やりたくないことは絶対にやらない。それが自分の主義だ。」

 

『っ…!』

 

「生憎自分の好きなことしかやりたくなくてね。これが受け入れられないのであれば自分はいますぐ帰るよ。

…まぁ、この手の依頼を受ける探偵はそういないだろうがな?」

 

『…………くっ……OK…受け入れますよ…』

「ということが先日の依頼途中にあったんだよ。」

「姐さんは相変わらずですね。」

「ああ、好きなように生きているものでな。」

「姐さんらしいです。」

「だからな寧々。主食に玉ねぎを入れられても自分は食べないぞ」

「好き嫌いは駄目です。姐さん。」

「断じて断る。好きなものしか食べない主義だ」

 

▼珊瑚の我侭/あだむ


トラウマは、とても厄介な存在である。

 

親から逃げて、好きな事だけをしてこの業界に入ったというのに。

「性」を理由として差別されたり批難されることは、この業界としては最早当たり前だということに気付いたのはそう遅くはなかった。

 

「女の癖に」

 

「女なんだから」

 

二度と聞きたくない差別の言葉。

これを言い放たれてしまったら最後、奥歯はガチガチと鳴って、背筋がゾワゾワと震え上がって最早何もできなくなってしまう。

トラウマが脳内を駆け回って、恐怖で脳内が支配されるのだ。

 

…される、筈なんだ。

 

「おい吹雪。余り無理をするなと何度言ったら分かる。………お前は女であるし、もう少し男の俺を頼ってもいいだろう。」

 

お前の言葉なら、私は受け入れられる。

 

▼吹雪夕那は歩を進める/あだむ


朝起きて、朝食食べて、支度をして、出勤する。

出勤したら仕事して、昼食をとって、また仕事する。

定時には終わらなくて残業したあと帰る。

帰ったらお夕飯を食べて、寝る準備をして寝る。

そしてまた、朝起きる。

 

そんな毎日を、今もまだ、繰り返している。

 

加奈先輩がいなくなって、もう、どれくらい経つだろうか。

秋恵はまだ、死んでしまっていることを知らずに…探し続けている。

私は…そのことを、秋恵に……言えずにいる。

 

残業をすることも…先輩がいなくなってから増えた。

 

だって、家に帰りたくない。

家に帰れば私は1人だ。

暗い、あの部屋が待っている。

先輩との、思い出が残る…あの部屋が……。

 

「加奈、先輩…」

 

暗い、1人暮らしには少し大きい部屋に私のつぶやきの声が反響する。

こういう時は、いくら飲んでも酔えない。

 

「酔えない…。酔えないよっ…先輩っ……」

 

 

目から溢れ出るモノを、拭ってくれた人は

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーもう、いない…。

 

▼廣瀬冬華の孤独/かりん


深海に沈んでいく夢を見た。

 

伸ばした指の隙間からごぽりと揺れる泡沫の隙間に、たしかに俺は赤黒い何かを感じた。駆け巡る血の記憶に、喉が焼けたようにひりついて震える。

 

(…、)

 

助けて、と、言う声は出なかった。そんな資格なんてなかった。脳裏に浮かぶ彩やかで鮮烈な赤色に開いていた目をぎゅっとつむる。

 

「死にたくない」

 

そう叫び縋る声を無視したのは俺の方なのに。

息が苦しい。かは、と、肺の中のわずかな空気も全て吐きだしてしまった。水面で揺れるオリーブ色に、まるで嫌悪し憎んだ父から見下されているかのような錯覚を覚える。

 

かあさん、ごめんなさい。

俺は、貴女の望む賢いこどもにはなれなかった。

 

瞑った眦から零れる涙は、海の水に混じって溶けて行った。視界が黒くフェードアウトしていく。終わり、だ。これ以上、嫌われることも、憎まれることも、疎まれることも、怒られることも、邪魔だと言われることも、…愛されることも、ない。全部終わりだ。やっと、やっと終われる。許されないままで、終われる。

 

(……、)

 

ありがとう、おやすみ、冷たい世界。

 

(……、………!………………。)

 

 

……瞼を閉じた冷たい深海。意識も、体も、途切れのない闇に引きずり込まれていくその瞬間。

 

「✕✕✕✕✕」

 

ゆるく滲んでいく色彩の中で、明るい女性の声がした。

 

▼柊・ニーチェ・理人の夢(仮名)/月兎耳


「っい、たい、っなにするん、だ…!」

俺の怒声に冬華はさらにぼろぼろと涙を流して俺の胸倉を掴んだ。なまっちろくて、けれど、俺よりずっとずっと沢山の物を支えて来た強い優しい手。

「痛む体がある、痛いって知る頭がある、怒れる心がある、あなたは生きてる、なのになんで、そんなに自分を許さないでいるの?」

…俺のことなのに、まるで、自分のことのように涙を流している。俺からしちゃまるで天使のような清くて透明な涙に、ああきっとこの子は、ほんとうにほんとうに、汚れを、罪恐れない綺麗な心をしているんだとぼんやり思った。

 

 

▼柊・ニーチェ・理人の羨望/廣瀬冬華の怒り

 if未来軸、柊に説教(物理)する冬華ちゃん/月兎耳


カナン、ごめんね。

私、あなたみたいに綺麗じゃないの。

あなたと、同じじゃないのっ……。

 

「ねぇ、莉奈も女優業一緒にやらない?」

 

もう何度目かのお誘い。

 

「ごめん、私忙しいから…」

 

素直に言えなくてごめんなさい。

でも……あなたに、この世界は絶対見て欲しくない。

 

今日もモデルの仕事が終われば速攻で家に帰ってスーツに着替える。

長い髪は後ろでポニーテールで結んだ後おだんごにする。

これがいつもの私の仕事スタイル。

 

表はモデル、裏では公安の諜報員。

いつ死んでも可笑しくない。

こんな世界に入った理由はただ一つ。

 

―――――――――――――あの人を、■■ため―――…。

 

▼風間莉奈の本音/かりん


手を伸ばしても届かない。

 

どこにいるかも、わからない。

 

今なにをしているのかも、わからない。

 

あの人は、私にいろいろなものを残して消えた。

 

愛しさも憎しみもなにもかも。

 

 

私が、今ここに立っているのはあなたがいたからなのに。

あなたは私を残して消えた。

 

そう簡単に許すと思わないでね。

私の両手を血で汚し尽くさせといて。

 

▼風間莉奈の意地/かりん



「気がつけばあっという間の3年。 随分と時間の経過がゆっくりやった」

「3年も探したんや。 後の時間は、待っとくことにするわ」

「年下で、先輩で、尊敬してた あたしの親友。」

「またどこかで」

 

▼小鳥遊秋恵の区切/カナ


嫌なこととかってね、溜め込むと体に悪いのよ。ぼーっとして怪我しちゃうし、気分も落ち込むし、病気にだってなっちゃうわ。

だからこれからは、そういったことは全部私に吐き出してちょうだいよ。大丈夫、それぐらいで私は潰れたりしないわ。嫌なことは一人で抱え込むより、二人で共有した方が楽だものね。

 

私を頼ってちょうだい。必ず助けてあげるから

 

 

(そう言って微笑んだ貴方は、嫌なことを抱えた自分を、助けてくれとは決して言わなかった)

 

 

▼お兄ちゃん真鶴の日常/キツネ





「あれ、そのココア、どなた様かのご注文ですか?」

 

閉店間際。カランとドアベルが鳴って最後の客が帰路についてしばらくした時、愛名ちゃんが首を傾げた。ストーブをまだ解禁していないせいで店はいささか寒く、愛名ちゃんの言葉は白く目に見える形となったのちに大気に溶け込んでいく。店内にはココアの匂いが漂っていた。

 

「ううん?違うよ」

「……?」

 

首の角度が深まった。店内に人はいないのにココアを淹れている私を不思議に思ったのだろう。そんな愛名ちゃんの前で、客用ではない大き目のマグカップにココアを注いだ。冷蔵庫から取り出した甘さを抑えた生クリームを多めに乗せて、キャラメルソースをかける。

 

「はい、誕生日プレゼント。…今日だったよね。ほんとは休憩時間にでも淹れてあげられたらよかったんだけど、遅くなっちゃってごめんね」

「…あ、……ありがとうございます!覚えててくださったんですね」

 

愛名ちゃんは花が咲くようにふわりと笑った。彼女が両手で持ったマグカップはまだ少し熱かったけれど、手が冷えていたのだろうか、温かそうに目を細めて愛名ちゃんはそれを一口すすった。

 

「……おいしいです……!キャラメルソース、結構合うんですね……普段こんな贅沢なココア見ないので新鮮な気持ちです……」

「よかった。うん、誕生日なのに働かせてしまったお詫びもかねて、ね。いつも助かってるよ、ありがとう。本当に、愛名ちゃんが居てくれてよかった」

「ふふ、照れちゃいますね」

 

もう夜の9時を回ったところだというのに、店内は明るかった。コンロの熱で温もったキッチンで二人、秘密の誕生日会を開く。

 

「生まれてきてくれて、ありがとう」

「はい、こちらこそ、……いつもありがとうございます」

 

彼女の優しい笑顔は、確かに自分の日々の支えだった。

実はもう一つ、プレゼントがある。エプロンのポケットに入れていた、紺色の紙で包装された小箱。愛名ちゃんの瞳にかかる色によく似た色のストーンが嵌め込まれた飾りのついた細いブレスレットだ。似合うと思って購入したけれど、喜んでくれるかな。

 

「今日、大学の皆からもたくさん祝われて。嬉しいけど、どこかむず痒いような気持ちです」

 

さて、くすくすと笑う彼女に、どうプレゼントの話を切り出そうか。

 

▼賑やかな喫茶店/月兎耳


「深琴サンより兄貴に膝枕してもらった方がええかもしれん・・」

「ごめん私の膝そんなに寝心地悪い?(´д`)

 筋肉は比較的無いと思うんだけど」

「ちゃうねん!! 太腿自体はめっちゃええねん!!

 深琴さん胸でっかいやろ!!!

 顔上げたらな! 天井より先に胸が目に入るんやって!!!」

 

「('ω')」

「気になるし笑う!!!」

「笑われる」

「笑うねん!!」

 

▼小鳥遊秋恵と岡永深琴/カナ


「冬華と久々にガスト行ってんかぁー」

「おーう」

「フォンダンショコラあって食べたんやけど美味すぎて惚れた」

「秋恵そういうとこはちゃんと女子やな」

「そういうことは???(゚д゚) 他は????」

「あると思ったんか?」

「無い!!('∀')」

 

▼小鳥遊秋恵の持つ女子力()/カナ


 

▼/

「・・・・私、警官にならなきゃ」「天命?」

 

「兄さん、私警官になる」「へぇ、お前がか」

「授業中に突然舞い降りた」「天啓か?」

 

▼阿雲加奈、当時高校生/カナ


「あれ、兄さん何飲んでるの?」

「リキュール」

「りきゅーる。 ・・あ、お酒?」

「飲むか?」

「何度?」

「20」

「・・・」

「・・・」

「・・割れるものは家にありますか」

「あったと思うが」

「割ってください」

「ん」

 

▼阿雲加奈は20度が飲めない/カナ


「加奈、あたしヤバいことに気がついてしもーた」

「? うん、何?」

「加奈って加奈やん」

「??」

「あ、名前がね!? 『かな』、やん」

「うん」

「加奈、あたしの名字は」

「小鳥遊」

「た 『かな』 し!! 見て!!

 加奈の名前があたしの名字に入ってる!!」

「あ、 たかなし・・・あぁー、ほんとだ」

「つまりあたし1人で秋恵と加奈を兼用できる・・・・( ・´ー・`)」

「・・・秋恵」

「んえ?」

「昨日寝てないでしょ」

 

▼小鳥遊秋恵は気付いた/カナ


婚約者が、死んだ。

彼女は同じ職場の、同僚だった。

 

”何故”

 

という言葉が、頭の中を反芻する。

 

昨日ーーー生きていた彼女を見る最後だったーーー別れるまで、彼女はあんなにも元気だったのに。

恨みをかうようなことだって何一つない、俺にはもったいないくらい…いい奴だったのに。

 

彼女と別れ、翌日出勤してすぐに事件だと、連れて行かれた現場には

冷たく横たわったーーーーーーーーーーーーーー彼女。

 

息はすでにない。

体温も、ない。

彼女を中心に広がる、赤い…液体……。

 

捜査を極めて冷静にできたのは、ある種の感情の麻痺だったんだろう。

胸にぽっかりとあいた穴は、俺の全てを奪い去った。

仕事以外の時は部屋に引きこもりだ。外に出る気も飯を食べる気すら起きなかった。

…ああ、そういえば小太刀が

「きちんと飯を食え!ただでさえヒョロイくせにこれ以上もやしになってどうすんだ!」

とか言ってたな…(苦笑)

俺はきちんと筋力がある。もやしはお前だろう、チビヒョロ助め。

 

 

そしてその後。

他殺なのは明らかであるのに、捜査は打ち切られた。

何故かって?…簡単だ。

上からの圧力でもみ消されたからだ。

 

彼女の理不尽な死に、俺は許せなかった。

彼女は何も悪いことはしていなかったのに。

 

「おい、蒲倉。アイツの死に納得できないのはわかるが、自暴自棄にだけなるなよ」

 

そう言った小太刀に俺はなんて言っただろうか。

……ああ、そうだな。

「うるさい、お前には関係ない。自暴自棄になんかなってない」みたいなことを言った気がする。

けれど、確かにあの時の俺は自暴自棄であったんだろう。

 

だから小太刀の警告も、助言も、何もかも聞かず1人で調べきった。

彼女の…死の真相まで。

 

 

結果俺は今、彼女の後を追うような立ち位置になっているだろう。

 

 

けど…後悔は、していないんだ。小太刀。

……すまない…。

 

▼蒲倉輪廻の記憶/かりん


助けてくれと

声にならぬ声を叫び

未だのうのうと生きている俺。

 

叫びは誰にも届いていないはずなのに

届かせていないはずなのに

何故……

 

「何故俺に構う」

 

もう、誰1人として失いたくないというのに。

 

▼蒲倉輪廻の軋み/かりん


蒲倉輪廻という人間は馬鹿正直で、とてもわかりやすい奴だ。

 

そう感じているのは、俺とアイツだけかもしれないけど

一番大きな変化というならば

アイツが殺されてから蒲倉は人から距離をとるようになったことだろう。

もちろん俺も例外ではない。もう名前では呼ばれなくなってしまった。

 

何故だろうと、悩む前にあの資料が荒らされているのを発見した。

…蒲倉がなにをしでかしたかは明白だった。

 

ああ、頭が痛い。

蒲倉は本当に何もわかっちゃいない。

 

俺の親友を殺しておいて、今度はその自分で作り上げた罪人をも殺すつもりか。

 

アイツも、俺も、誰もそんなこと望んでいない。

 

周りを気にして、守ろうとしている筈なのに蒲倉は周りを一切見ていない。

手をいくら伸ばしたって、どれだけ声を張り上げたって、

全て跳ね返して、自分で作り上げた虚像の海へと沈んでいく。

 

愚かで

滑稽で

惨めで

どうしようもない大馬鹿で

自分勝手な

孤独を演じている

俺の大切な親友。

 

現実から、俺から逃げずに向き合え。

俺の目を見ろ、お前の迷いを打ち砕いてやる。

俺の声を聴け、お前に現実を教えてやる。

俺の手を取れ、お前を前に進ませてやる。

 

俺の、

俺の名前を呼べ。

 

お前の親友に戻ってやる。

 

▼小太刀喜助の親友/あだむ


「え、……行方、不明、……」

 

目の前の部下が息を飲むのが見て取れた。胸をざくりと抉るような怒涛の感情に目をゆるりと細めると、思考がすっかりクリアになっていくのを感じる。

…仲間を失った悲しみに暮れている場合ではない。それを悟られないように、あくまで希望を持って振舞うのが自分の務めだ。

罪悪の心は消えない。あの笑顔を、不自然な形で失ってしまった自分の弱さが憎い。

 

「…そう、ですか、無事だといいです、ね」

 

覇気のない声に心が痛む。今にも震えそうな声を必死にとどめているであろうその痛ましい様子に、涙までもが滲みそうになった。

 

「…大丈夫だろ、…あいつのことだ、きっとそのうち、いつもみたいに笑って帰ってくる」

 

…はっきりと言い切ってしまえば、存外言葉尻は震えない。いつかほころびる嘘でもいい。今、こうして不安げにも健気に笑う部下の顔が見れればいい。凛と立って、笑顔でいるのがこいつには似合っている。

 

真実を自分で飲み込んで、この笑顔を、あいつの代わりに見守ることが俺の仕事だ。

 

そうだろう、加奈。

 

▼小太刀喜助の前進/月兎耳


私服警官の仕事を終えて、警察署休憩室のソファに座り、

一息付いた阿雲に缶ジュースを一本差し出す。

缶ジュースが自分に向けられてると気づいた阿雲が瞬き2回。

 

「い、いただいてもいいんですか」

「貰ってろ」

 

阿雲は躊躇気味に缶ジュースを受け取り礼の言葉を述べる。

缶の口を開けようと爪を引っ掛ける阿雲の向かい側の席に腰を下ろす

ほぼ同時にプシュッ、と缶ジュース独特の音が休憩室に響いた。

 

「そういや阿雲、お前確か明日はオフだったな。 どっか行くのか?」

「あ、はい! 人生初、コミケに!」

「コミケか」

「コミケです」

 

お友達に誘われて。 と楽しみ度を満点の笑顔で見せた阿雲にくっと笑う。

 

「そうか、なら楽しんでこいよ。

 明日は廣瀬がお前の分まで穴埋めする予定だから」

「うわ、冬華ちゃんにお礼言っておかないと・・全力で楽しんできます!」

「その代わり明後日は明日の分の仕事もこなすつもりでな」

「承知です!」

 

缶ジュース片手に敬礼のポーズを取る阿雲。

「やっとお仕事慣れてきました」は本当にここ最近で聞いた言葉だ。

 

翌日、夕方。

コミケ会場の最寄り病院から、阿雲らしき女性が死んだと通告を受ける。

 

「土産話持って帰って来ますね」と言っていたのに

あれほど楽しみにしていたのに。

こんなことがあるだろうか。

 

それか俺が、その日に、阿雲に休暇許可を出さなければ

大事な部下は 今も 生きていたのだろうか。

 

▼小太刀喜助の悔い/カナ


いつだって、アイツは俺の前を走って行った。

俺よりも小さいくせに。

何度だって。

 

そのくせ、アイツは何度も振り返って

ちゃんとついてきているか何度だって確認した。

 

俺に婚約者ができたとき、周りにいたやつの中でなんだかんだ1番喜んでくれて

婚約者が殺された時、1番近くにいてくれた。

 

けど、俺は彼女の理不尽な死に納得ができなくて、

小太刀の忠告も碌に聞かずに突き放し、調べ続けて愚かな俺がたどり着いた先は

 

彼女と同じ末路を待つだけの日々だった。

 

 

「知りすぎてしまった」と気付いた時にはもう手遅れ。

いつ殺されるかわからない俺は、これ以上、誰も巻き込みたくなくて

全ての人を遠ざけた。

俺の側が危険なら、誰も寄せ付けなければいいと、そう思って。

 

 

でも、アイツはそんなこと関係ないとばかりに俺に対する態度を変えなかった。

何度突き放しても。

誰もが俺から遠ざかっても。

 

 

小太刀は

「お前が、いなくなることは許さないからな」

と言って、俺を睨んだ。

 

差し伸ばされた手を

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー本当に、取っていいのだろうか…?

 

▼蒲倉輪廻の逡巡/かりん


感情が薄い訳ではない、と思う。

 

蒲倉の婚約者、アイツが死んだときも、

 

小鳥遊や廣瀬、餅岡と特に親しかったアイツが消えたときも

 

涙は一度も出たことがない。

いや、決して無理をしているから、とかではないんだ。

 

俺より悲しんでて、この世の終わりみたいな顔をする奴ばかりで、

そいつらの心配をしているといつの間にか自分の中にある悲しみがなくなって、前を向ける。

 

アイツらは、馬鹿なんだと思う。

 

それでいて、酷く純粋だ。

 

だから、10ある悲しみを変に責任を感じて分けようとしない。

2人で分けても5になるわけだから、それだけでも結構楽になるというのに。

 

「後ろを向くな」

 

と何度言ったかもう数えるのもくたびれた。

あいつらは過去を見過ぎている。あいつらは深く考え過ぎてる。

 

今あるものが、この日常が。何よりも幸せだというのに

 

話なら幾らでも聞こう。八つ当たりなら死んでも受け止めよう。

抱きしめてほしいなら、慰めてほしいなら、”助けて”というなら、どこへだって飛んでいこう。

 

だから。

 

頼むから、俺の幸せをとらないでくれ。

 

▼小太刀喜助と馬鹿な部下達/あだむ


「どうせお前は」

幼少期から繰り返し洗脳のように聞かされてきた言葉が大嫌いだった。

鮮やかなまでの人格否定の末に選んだ人を殺して金を受け取る道にすら、自分の居場所はどこにもなかった。…けれど最近になってどこかでふと思うのだ、『神の気まぐれ』なんかで、今更死んでやるものか、と。

 

▼柊・ニーチェ・理人の世迷言/月兎耳


俺の先輩達は、かっこよくて、強くて。それでいて何かしら訳ありだ。

色んな噂を同期やらに聞いたことがある。例えば、喜助先輩が元ヤンとか、この部署で2人、人がいなくなっている、とか。

みんな、何かをいつも考えてて。俺じゃ先輩達の力にはなれないんだろうな、って、俺じゃ居なくなった2人の穴は埋めれないんだろうなって、流石にわかるんだ。

だから、俺は。

うだうだ考えるのをやめて、俺らしくいこうと思う。

悩んで落ち込むより、笑った方が絶対いいし!

俺らしく騒いで、俺らしく笑って、俺の居場所を作っていくんだ!

それで、みんなが。

馬鹿だな~って笑ってくれればいいと思う!

 

さぁ、先輩達!今日もたくさん笑ってくださいね!

 

▼秋貞幸太郎の持論/あだむ



身長の高い奴らばかりなこの部署だけど、

案外不器用なやつばっかで

 

自分が落としたものでさえ見つけられない。

 

身長の小さい俺はすぐにそれに気付く。

 

だから俺は、

 

少し癪だが、お前らの見つけやすい所に置いてやるよ。

 

感謝なんてする暇あるなら早く自分で気付け馬鹿な部下共

 

▼小太刀喜助はちいさい/あだむ


「金落とすのはリア充ばかり」

 

脆弱な彼は笑顔で言った

 

▼幸薄き加工者の受難/キツネ


婚約指輪というものは、人生において一度きりのものであって欲しいのです。

その一度きりのかけがえのない物は、世界でただ一つの物であって欲しいのです。

煌びやかな物、華やかな物、慎ましやかな物、淑やかな物、上品な物、

 

「どんな依頼であってもこの世に二つとない物を、貴方達に贈りたい。そしてその指輪がお2人の幸せを示すものとしてずっと残っていてくれることが、僕のちょっとした願いです」

 

▼ノチェの願い/キツネ

 

ノチェ「婚約指輪は2人を愛で縛るもの、互いを縛り付ける覚悟はできましたか、と、毎度思うのですが口にすることは出来ませんね」

真鶴「したら私がアンタのことぶん殴ってるかも知んないわ(´・ω・`)」

 ノチェ「それは怖いですね……」


「黒斗さん」

 

名を呼ばれて、振り向いた先に彼女が居るのも日常になりつつあった。

 

自身に向けられている温和な笑みは彼女特有のものであり、

その彼女の笑みが確立された感情から来ていることを俺は知っている。

 

大人びたとも年相応とも取れる表情は彼女の自然な姿。

 

その優しい瞳で覗いたものはいかほどのものか。

 

その世界に、俺はどれほど占めている。

 

▼阿雲黒斗は知っている/カナ



俺たちを突然襲った悪意の塊。

それはまるでかつての戦争時のように思わず呪いたくなるような赤紙。

 

そんな赤紙を俺と同時期に旅行先にいた奴らは全員もれなく受け取ることになった。

まさか俺のせいで巻き込んでしまったか、と思わず底冷えをした。

 

旅館の女将たちの娘であった少女に頼んでもいないのに招かれ

明らかに人外で危険である不気味なモノと相対することになった時は

巻き込んでしまったが、せめて彼らは己の身を犠牲にしてでも守ろうと思った。

 

全てが終わった後に俺の抱える問題とは全く関係なかったと知るが、

それまでは俺が巻き込んだのだから、俺が守らなければと思った。

そう、思っていたのに…

 

 「寧々、蒲倉くん、丘さん、秋永さん」

 「必ず生きて」

 

アイツは突然そう言ったかと思えば

一等大きく、不気味なモノの口の中に

俺と丘とかいうやつが倒した不気味なモノの1つが持っていた槍を持って

自ら飛び込んでいった。

 

バカかと思った。

なにをしているんだと。

しかし助けようと思ってももう遅い。

 

俺には助ける術がなかった。

 

こんな時にまで己の無力さを痛感させられるなんてつくづくついていないと思った。

 

俺の武器になりそうなものは、俺の相棒とも言える警棒ただ1つだけ。

これだけでは口の中に飛び込んでしまったアイツを助けるどころかまるごと傷をつけかねない。

 

俺にできることといえば、他の物体をいち早く倒すこと以外にはなにもなかった。

 

そして、杖に隠した刃でアイツを救出するヒゲの生やしたおっさん。

あんなヤツでも人を助けられるのに、俺には誰1人して救えない。己の身すらも危うい。

全てが己の無力さを物語っていて

  『所詮俺には、身を犠牲にしても誰も助けきることはできないのだ』

と理解するのに、そう時間はかからなかった。

 

▼蒲倉輪廻の自己犠牲/かりん


だけど、あんな熱烈な告白を受けるなんて誰が予想できると思うんだ。

あの化け物の口の中で振り返りすべてを諦めたような顔で言い放った愛の言葉。後から、あの時は正気ではなかったんだと涼しい顔をして言い放った彼女を見て。どこか、タンポポの綿毛の様にふらふら、ふわふわと自分勝手で。あの化け物の口の中に入っていた時みたく危なっかしさを感じた。

それが、彼女の危なっかしさが1日過ごしただけの仲な筈なのに何故か酷く恐ろしく思った。

 

嗚呼、こんな歳になってまでも女の子に振り回されるとは。

 

▼秋永伊佐冶の悩み事/あだむ


この全身の火傷を負ったあの日から、家にある鏡という鏡全てを捨てた。

あの日を思い出すから、全て見ないようにしてきた。

今、家を出ると知らない場所に着いて、知らない人達がいる。

直感で、わかった。あの恐ろしいことが、また起きようとしていると。

…今度は絶対に死なせはしない。

 

▼辻至の決意/あだむ


ねぇ、なりたいモノになったはずのあたしの先輩。

あたしはお仕事続けてるよ。

あなたの目標には近づいとるやろか。

ねぇ、行方の分からないまま何年も経ったあたしの親友。

流石にあたしの髪は鬱陶しい長さで、

まぁそれはどうでもえーんやけどさ。

そろそろあなたの顔が見たいよ、加奈

 

▼小鳥遊秋恵の黄昏/カナ


僕は伏見照彦が苦手だ。

 

「あ、凪くん。今日はよろしくね!」

「…うん。」

 

この一見和やかな笑顔には、どす黒い何かがある。

何故か他の人は気づいていないみたいだけど、きっとそれはこの伏見照彦の人柄のせいだと思う。

 

ふわふわとしているようで、どこか、遠くを見ている。それが何故か、恐ろしくて仕方が無い。

何て、怖いやつに目をかけられてしまったんだ僕は

 

▼月見里凪の怯え/あだむ


夢を、見るんだ。

俺が命を奪った人の悲痛な叫び

 

「死にたくない。死にたくないよ」

 

ごめんなさい。

 

「いたいよいたいよ」

 

ごめんなさい、俺は君を助けられない。

 

「くるしい、息ができない」

 

ごめんなさい

 

「っまって置いていかないで」

 

ごめんなさいごめんなさい。

 

「お前が殺した」

 

そうだ、俺が、

 

「絶対にゆるさない」

 

俺は、許されるべきじゃない。

だって、人の命を、奪っている、見捨てている。奪う事に、慣れてしまってる。

どうか、俺を許さないで。

 

(誰か、俺を…)

 

▼柊・ニーチェ・理人の罪/あだむ


顔も性別も分からなくなったような焼死体を見ると、あの時の不気味で悪趣味な家を思い出して「よかった、あそこじゃない」とホッとする。

それと同時にゾッとするんだ。

人の死を見て安心している自分が怖くてたまらない。

「殺してやる」と騒いだ少女に向けた軽蔑の視線はなんだったのか

俺の方が、よっぽどおかしいじゃないか。

 

▼辻至は思い出す/あだむ


私より少し背が低く、警察官だという彼とは目が合わない。

私だけかと思ったらそうでもないらしく、彼は人と目が合わせられない。

 

視線恐怖症、どこか葛藤めいた表情はきっと彼なりの努力の現れ。

 

……私は何もしなくていい、

私はただ、待っているだけでいい。

 

「喜助さん、今日店長お勧めでシフォンケーキあるのですがいかがですか?」

「あぁ、ならそれも」

「かしこまりました。 コーヒーとシフォンケーキ1つ入りまーす」

「はーい」

 

▼江里口愛名は気付いている-待っている/カナ



珊瑚姐さんはとても自由で、気ままで、どこへだって行ってしまう身軽さに

 

"まるで野良猫みたいですね。"

 

と、いつの日だったか、零したことがあります。

 

すると姐さんは、きょとんとした顔で

 

"誰かに飼われていたら首輪をされてしまうじゃないか。

 そんな縛る為に生まれたモノに縛られていて、何が楽しいというんだ?"

 

さらりと言い放ちます。

…姐さんは、本当に変わらない。

 

誰にも影響されず、誰にも染まらない。

そんな姐さんの姿が綺麗な水のように、透きとおって酷く純粋な人。

 

 

神社って意外と人の恨み辛みが、汚い感情がよくわかる。

神聖な場所だからでしょうか?

 

そんな場所に溜まる負の感情って"想い"が強いんです。

人間ってたくさん暗い過去だったり、辛い現実だったりを抱えている。

それを、出来るだけ自分から離れるように神に祈る。

 

その姿が、その行為が愚かに見えたのはいつのことだったでしょうか。

 

姐さん。私、姐さんの純粋さに惹かれたんです。

神なんかに頼んでいる人が理解できないと素直に首をかしげる姐さんはとっても素敵だと思います。

 

 

神様なんて、いると証明されたことなどないのに。

証明されていないものに、いるかもわからないものに頼ろうとするなんて、愚かに思える。

 

 

珊瑚姐さん。次の依頼は私も協力させてください。

なんとなく、姐さんと一緒に行動したい気分なんです。

 

次はどうやって"自分たちの力"で解決しましょうか

 

▼久遠寧々は神を信じない。/あだむ


時々考える。

アイツはもう結婚したけど、真鶴姉さんが結婚したときのこと。

幸せそうに笑ってる真鶴姉さんを見れたら、想像の中の話でも心が温かくなるの。

そんなことを考える時、辻のことがふと浮かぶ。

辻が幸せそうに笑って、私に向かっていつもみたいに笑いかけるの。

でも、真鶴姉さんの時みたい、心が温かくならない。

私の中のなにかが、メラメラと燃え出してきちゃう。

 

これは、なんなんだろう。

今日も私はアイツに着いていって消防署を回る。

 

▼梢千鶴の燃えるもの/あだむ


私は今母さんと弟の3人暮らし。

父さんは私が小さい頃、事故に遭って死んだ。

弟は赤ちゃんだったから、父さんの姿を覚えていない。

母さんは必死になって私たちを女手一つで立派に育ててくれた。

 

でも、母さんは無理がたたって、壊れてしまった。

 

なにがあっても折れずに頑張っていた面影はどこかへ行ってしまったのかなりを潜めて

ダメな日は本当にダメで、ひどいと話しかけても反応はない時や何故か突然怒り出す時もあった。

 

バイトをしながら学校に通い、弟と母の世話をし、家事をしながら勉強を頑張った。

私は母さんを少しでも楽にしてあげたくて、メンタルセラピストという職業に就いた。

実際に母さんと似たような人を少しずつ癒した。

 

でも母さんは、なかなか今まで通りとはいかなかった。

だいぶ無理をし続けた母さんはいたるところが歪んでしまっていた。

 

 

わたしには、かあさんをすくえない…。

 

 

気づかなければよかった事実に、”ナニカ”が崩れたような音が聞こえた気がしたーーー…。

 

▼葛西凛の絶望/かりん






にこやかに手を振るサラリーマンに、こちらも笑顔で手をひらひらと振った。

 

「ありがとうございました。また来てね」

 

最後の客が、帰ってゆく。時刻は午後8時52分。少々早いが、もう閉めてしまってもいいだろうか。

今日は、11月18日。いなくなった従業員の愛名ちゃんの、誕生日だった。

 

「……寒いなあ……」

 

かちっと音を立ててコンロの火をつける。ミルクパンに牛乳を温めておきながら、サイフォンを取り出す。これを使うのは久しぶりだけれど、せっかくなのでこれで淹れよう。

アルコールランプに火をつけると、温かい色の炎がゆらりと揺れた。

 

「……」

 

思い返してみれば、愛名ちゃんが店にいたのは短い期間だったようだ。自分の人生の10分の1にも満たない時間しか、私は彼女を知らなかった。それでも気が付いたときには彼女の笑顔がここに在って、それをなくしてしまった今、こうして寂しさを感じているのだから、人間関係というものはよくわからない。

話し相手がいないので、黙々と手を動かす。……抽出されていくコーヒーは、二人分。ミルクパンのコンロの火を止めてコーヒーをカップに注いだ。温まったミルクを注げば、カフェオレの完成だ。一つは手元に、もう一つは誰もいないカウンターへ。雷雨の日に店にやってくる彼女が、いつでも座っていた席に。

 

「……お誕生日、おめでとう」

 

小さく呟く声に、自分は返事を期待していたのかもしれないと知る。連絡さえつかなくなってしまった彼女がどこへと消えたのか、私にはわからなかった。もしかしたら、明日にでも見つかるかもしれない。もしかしたら、今この瞬間にすみませんと謝りながら、店に飛び込んできてくれるかもしれない。そう思いながら、私はずっと待っていた。

 

「君の誕生日を、君がいるこの店で祝えたら、どんなに良かっただろうね」

 

カフェオレをゆっくり飲みながら、そう静かに告げた。返事はない。がらんとした狭いはずの喫茶店が、やけに広く思えた。

 

「……愛名ちゃん、」

 

はやく、戻っておいで。

そんな懇願は、終ぞ口にすることが出来なかった。

 

▼静かな喫茶店/月兎耳

(愛名ロスト確定IFルート)





*小鳥遊兄妹

 

秋恵 ふっふっふ・・・・さぁ、小鳥遊家兄妹による

   多分43回目の腕相撲大会です。 選手の夏樹さんいかがですか

夏樹 一応仮にも兄なので妹には負けられへんな!(`・∀・´)

   対して秋恵さんの意気込みはいかがでしょうか

秋恵 現役警官舐めんといてな?('∀')フハハ 今日は絶対負かすでぇ・・・

夏樹 おぉ、言いよったな?ww

秋恵 あたし遊んどるだけちゃうしな! 兄貴とちごーて鍛えとっからな!

夏樹 そう言って粗方負け越してるっていう

秋恵 腕相撲無しにぶっ飛ばすで('∀')?ww

夏樹 アッゴメンナサイッww

秋恵 wwwww

夏樹 wwwww

秋恵 ほな参ろか・・・・

夏樹 一世一代の大勝負・・・・

秋恵 負けられない戦いがここにある・・・?

夏樹 兄のプライド賭けて・・・?

2人 勝負ッ!!!

 

※腕相撲です


あの日、私は恋をした。

 

いつもどこか遠くを見つめてる、休み時間は花壇にいって、おじさんと一緒にお花の世話をしている。

 

話をしている時の、あの真剣な眼差しと花を見つめている時のあの純粋な笑顔。私を囲む男子や女子とは違う、あの美しさ。

 

その美しさには偽りはなくて

 

私は美人で綺麗だった。何事も1番だった

 

初めて自分より美しい人を見て胸が高鳴った。

彼に見てもらいたくて、彼が1番。私が2番。隣合って生きていこうと、私は精一杯お洒落をした。

 

 

 

 

中学校に上がって、彼との距離がまた出来てしまった。

でも、彼は変わることなく、中学校の花壇にある花の世話をしていた。彼はやっぱり1番美しかった。

 

私はお洒落をする努力を今も続けている。だから周りからは人気者で、私の言う事ならなんでも聞いてくれた。

 

 

とある日、

同じクラスに私以上に、モデルみたいな小さい顔の綺麗な子がやってきた。

 

そんなのって許せない。

 

2番の席は私以外に必要ないの。

私より美しい子なんて、いらない。

私はずっと2番でいるの。いつの日か彼に見てもらうために。

 

女子の醜い嫉妬心に火をつけて、男子の馬鹿な行動をエスカレートさせていって。

 

私は彼女を孤立させることに成功した。

これで私は2番に戻った。彼の隣。

私は幸せだった

 

なのに

 

なのに、

 

なのに!

 

なのに!!!!

 

 

いつもの様に、彼女を陥れていると

彼はその美しい手で女の子にハンカチを差し出した。

彼はその美しい目で女の子と目を合わせた。

 

 

 

ずっと順位で並んでいた私は

彼と目を合わせたこともないというのに

 

 

 

あんまりよ。こんなの

 

 

大嫌い大嫌い。

 

 

 

愛してる。

 

▼月見里凪に魅了された女/あだむ